◆攻撃のルール
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打順(攻撃の順序)
【打順の誤りを打撃後に指摘すると、打撃結果によらずアウトにできる】
▼アウトになるのは正式な打順のバッター
バッターの打順は、試合前に交換したメンバー表のとおりに行います。もし打順を間違えた場合は、次のような処置をします。
守備側が攻撃側チームの打順の間違いに気づいたときは、間違えたバッターが打撃を終え、次のバッターが打席に入る前に審判員に指摘すると、打撃結果によらずアウトとすることができます。
このとき、アウトになるのは正式な打順のバッターです。たとえば、3番の打順のときに誤って4番が打ち、指摘によってアウトとなった場合、アウトになるのは3番。よって次に4番がもう一度打つことになります。
▼守備側は打撃終了時に指摘したほうが有利 打順の間違いをバッターが打席に入ったとき、もしくは打撃中に指摘した場合は、審判員は正式なバッターとの交代を命じ、プレーは交代した時点の状態のまま続けられます。つまり、守備側にとっては、打撃を終えてから指摘したほうが有利となるわけです。
打者の基本姿勢(義務)
【バッターはボックス内ですみやかに打撃姿勢をとる】
▼両足を打席の中に置いて構える バッタースボックスに入ったら、バッターはすみやかに打撃姿勢をとります。構えるときは、両足をバッタースボックス内に置くのが規則なので、足が一部でもはみ出てはいけません。ライン上はOKです。
▼ピッチャーが投球動作に入ったら打撃姿勢をやめてはいけない
ピッチャーは、バッターが構えるまで投球動作を行ってはいけないことになっています。しかし、だからと言っていつまでも打撃姿勢をとらないでいると、球審に注意を受けます。注意に従わなければ、球審はピッチャーに投球を命じ、それがどんな球であってもストライクとされてしまいます。
また、ピッチャーがセットポジションをとるか、ワインドアップを始めたら、バッターは打撃姿勢をやめたり、ボックスの外に出たりしてはいけません。試合をスピーディに進行するためにも、いたずらにタイミングを外さないのがマナーです。
20秒ルールの規定
【キャッチャーの返球を受けてから20秒以内で投げる】
▼キャッチャーもすみやかに返球しないと違反となる 試合をスピードアップする目的で定められているのが「20秒ルール」です。 ランナーがいないとき、ピッチャーはキャッチャーの返球を受けてから20秒以内に投球しなければいけません。
ピッチャーがいつまでも投げないと試合が無用に長引いてしまうので、制限時間が設けられているわけです。
球審が明らかな遅延行為だと判定すると、ボールが宣告されます。 またルールでは、ピッチャーだけでなく、
キャッチャーにもすみやかに返球することを求めています。
打者席内のルール
【バッタースボックスの外へ足を踏み出して打ったら即アウト】
▼足が空中にあればOK
バッタースボックスに入ったら、バッターは次のことを守らなければいけません。まず、打撃の際は、片足または両足をバッタースボックスの外に置いて打ってはいけません。これはバントの場合も同じ。足を踏み出して打ってしまった場合は、打球がフェアでもファウルでも、打者はアウトとなります。
バッタースボックスを飛び出したときは、足が空中にあればOK。ところが、足が地面に着いているとアウトとなります。特にスクイズの場合には注意が必要です。この場合、ノーアウトまたはワンアウトなら、バッターではなく、3塁ランナーが守備妨害でアウトとなってしまうので注意しましょう。
▼ボックスの移動は投球の合間だけ
ピッチャーが投球動作に入ったら、バッタースボックスを移ってはいけないことも決められています。違反すると、即アウトです。ただし、投球と投球の間なら、バッタースボックスを何回移っても問題ありません。
振り逃げの規定
【バットを振らなくても振り逃げは成立する】
▼無死・一死ランナー1塁で振り逃げはできない 第3ストライクを宣告されたとき、キャッチャーが正規に捕球をすれば三振でアウトとなりますが、次の場合は即アウトとはなりません。
@キャッチャーが捕る前にボールが地面に触れたとき(ワンバウンド投球を空振りしたときなど)
Aキャッチャーが捕球できなかったとき(ワイルドピッチ、パスボール、落球など)
以上が、いわゆる「振り逃げ」ができるケースです。見逃しのストライクでもキャッチャーが捕球できなければ、
振り逃げの権利があります。 このケースでは、バッターは第3ストライクを宣告されますが(記録上は三振)、打者走者となって1塁へ走ることができます。守備側がこれをアウトにするためには、バッターが1塁へ到達する前に、体か1塁ベースにタッチしなければなりません。
ただし、ノーアウトまたはワンアウトでランナーが1塁にいる場合は、このルールは適用されず、第3ストライクを宣告された時点でバッターはアウトとなります。
打者が打球に触れた場合
【バッターがフェアボールに触れるとアウト】
▼ピッチャーや野手より先に触れてはいけない
投球を打った後、走り始めたらボールを蹴飛ばしてしまった。あるいはバウンドしたボールが自分の体に当たってしまった場合、フェアとなった打球が、野手(ピッチャーを含む)に触れる前にバッター(打者走者)に触れると、バッターはアウトとなります。
▼バッタースボックス内で触れた場合はファウル
ただし、バッタースボックス内で打球に触れた場合はアウトにはならず、ファウルとなります。いわゆる自打球や、
打球がホームベースに当たって跳ね返り自分の体に触れたとき、バントしたボールが体に当たったときなど、
体がバッタースボックスから外に出ていなければ、いずれもファウル扱いです。
バッタースボックス内は、フェア地域とファウル地域が混在していますが、ボールが触れた場所がたとえフェア地域であっても判定は同じです。
バットとボールの二度当たり
【フェア地域でバットがボールに当たるとバッターはアウト】
▼転がってきたボールがバットに当たるとボールインプレー
フェアの打球(バントも含む)に、フェア地域内で再びバットが当たってしまった場合、バッターはアウトになります。
たとえば、打った後に放り投げたバットがボールに当たったときなどのいわゆる「二度当たり」です。
故意の場合は当然ですが、偶然でもバットの方からボールに当たってしまったら、バッターは守備妨害によってアウト。
ボールデッドとなり、ランナーがいる場合は進塁できません。このルールは、バッターがバットを持っている、
いないに関わらず適用されます。
フェアの打球が転がってきてフェア地域内にすでに転がっていたバットに当たったときは、アウトにならず、ボールインプレーとなります。
たとえば、打った後に投げたバットがフェア地域内に落ち、そこへ転がってきたボールが後から当たり、バッターが故意に打球を妨害してはないと審判員が判断したときに適用されます。
ボールインプレーなので、ランナーは進塁できます。バッタースボックス内でバットに二度当たりした場合は、ファウルとなります。
走者や審判員が打球に触れた場合
【ランナーや審判員が打球に触れて守備を妨害したら記録はヒット】
▼守備優先が基本原則 フェアとなった打球に対しては、野手(ピッチャーを含む)が守備の優先権を持っていることが大原則です。したがって、故意であるなしにかかわらず、野手が処理をする前の打球にランナーや審判員が触れ、それが野手の守備機会を奪ったと判断されると守備妨害となり、ランナーが当たった場合はそのランナーはアウトになります。
このとき、打者走者は安全に1塁へ進めます(記録はヒット)。打者走者によって押し出されるランナーがいる場合は、
ランナーも安全にひとつの塁を進めます。 ただし、野手の守備機会を奪わずに(妨害することなく)、フェアボールにランナーや審判員が触れたときは、これにはあてはまりません。この場合はボールインプレーとなります。
たとえば、前進守備をしていた内野手の横をボールが通りすぎた後で、ランナーや審判員にボールが触れたときなどがこれに該当します。一度野手に触れたボールが、ランナーや審判員に触れた場合も同じ扱いです。
スリーフットレーンの走行義務
【1塁の守備を妨害する可能性のあるはみ出し方はアウト】
▼スリーフットレーンをはみ出してもアウトにならないケース
「スリーフットレーン」とは、本塁と1塁を結ぶファウルライン横の1塁側半分に設けられた地域です。
バッターが打った後、1塁に対する守備が行われているときに、1塁へ向かう打者走者がこのレーンからはみ出して走った場合、故意であるなしにかかわらず、基本的には守備妨害となり、打者走者はアウトとなります。
最も多いのは、キャッチャーがゴロなどをさばいて1塁へ送球するケースです。
たとえば、1塁ファウルラインより3塁側(左側)に転がったボールをキャッチャーが処理して1塁へ送球する場合。
打者走者がフェア地域側(レーン左側)にはみ出していると、故意でなくとも明らかに守備妨害とみなされます。
反対に、1塁ベンチ前などに転がったボールのときは、ファウル地域側(レーン右側)にはみ出していれば妨害となります。
ところがこの場合、打者走者がフェア地域側にはみ出していれば妨害とはみなされません。なぜなら、実際問題として、キャッチャーの送球と打者走者の走るルートが交錯することがないからです。
このように、スリーフットレーンは、打者走者が「絶対に走らなければいけない」地域ではないことを覚えておきましょう。
長打を打って1塁ベースを回る前などはもちろんのこと、1塁に対する守備を妨害する可能性がない状況では、
レーンからはみ出してももちろん問題はありません。
インフィールドフライの規定
【審判員がインフィールドフライを宣告した時点でバッターはアウト】
▼故意のダブルプレーを避ける
「インフィールドフライ」は、ノーアウトまたはワンアウトで、ランナーが1・2塁もしくは満塁のときに発生します。
これらの状況で、バッターが内野フライ(ライナーやバントの飛球を除く)を打ち上げ、守備側(内野の守備位置であれば、
内野手だけでなく外野手、ピッチャー、キャッチャーが捕っても同じ)が普通の守備をすれば捕れる(イージーフライ)と
審判員が判断したとき、インフィールドフライが宣告され、その時点でバッターはアウトとなります。
守備側が故意に落球してダブルプレーなどをとることを避けるためのルールです。
▼捕球されなかった場合ランナーはリタッチしなくてもよい
もし、捕球できなくても、バッターはアウトになり、その後のプレーとは関わりがなくなりますが、通常のフライアウト同様、
ランナーにはリタッチの義務が生じます。 つまり守備側はフライを捕った場合は、通常のフライと同じように、ランナーはタッチアップしなければ次の塁へは走れません。もし、ベースに戻る前に送球されれば、アウトになってしまいます。
しかし、結果的に捕球できなかった場合はリタッチの義務は生じません。インフィールドフライが宣告されてもボールインプレーですから、ランナーは離塁した状態から次の塁へ進んでもよいのです。
インフィールドフライの宣告後、結果的にファウル地域で守備側が捕球できなかった場合は、ファウルが優先されます。ファウルライン上にフライが上がったら、審判員は「インフィールドフライ・イフ・フェア」と宣告します。
故意落球の規定
【内野手がフライやライナーを故意に落とすとバッターはアウト】
▼グラブや手に当てて落とすと故意落球になる
ノーアウトまたはワンアウトでランナーが1塁にいる場合、内野手が普通に捕れるフライやライナーをグラブや手に当ててから意図的に落とすと、「故意落球」となります。
この場合、バッターはアウト。ボールデッドとなり、ランナーは進塁できません。守備側が故意のダブルプレーや1塁ランナーの入れ換えを狙うことを避けるためのルールです。
たとえ故意であっても、ボールをグラブや手に当てていない場合は、故意落球とはなりません。
▼故意落球よりインフィールドフライが優先
バッターが内野フライを打ち上げたときにインフィールドフライが宣告された場合は、故意落球ではなくインフィールドフライが優先されます。
インフィールドフライの宣告時点でバッターはアウト。その後で故意落球しても、ボールインプレーとなって、ランナーはベースにリタッチする必要がなくなります。
スクイズの注意点
【スクイズでの反則打球は3塁ランナーがアウトとなる】
▼打撃妨害は無条件で得点
バッターがスクイズをしようとしているとき、守備側がそれを妨害すると、得点が認められるとともに、バッターは打撃妨害で1塁へ進めます。
キャッチャーや野手がホームベース前でボールを捕ってしまったり、バッターの体やバットに触れてしまうなどのケースです。
スクイズに対する打撃妨害は、ルール上はピッチャーのボーク扱いとなります。したがって、3塁ランナーの得点が認められることはもちろん、塁上にいたすべてのランナーがひとつの塁を進むことができます。
▼スクイズで反則打球をしたとき投球がバットに触れたらカウントしない
同じスクイズでも、バッターがバッタースボックスの外に出るなど反則打球をした場合は、バッターが3塁ランナーの走塁を助けたという判断で、3塁ランナーがアウトとなります。
このときのカウントは、空振りならもちろんストライクですが、投球がバットに触れていない場合はストライクかボール(コースの判断)、投球がバットに触れた場合はノーカウントとなります。
打者による守備妨害の規定
【バッターが守備を妨害するとアウトになるのが原則】 ▼守備妨害にならないケース
バッターの守備妨害の多くはキャッチャーに対する行為で、盗塁を阻止するためにキャッチャーが送球するのを邪魔したり、
捕球を妨害するなどがあります。すっぽ抜けて飛んだバットが野手の守備を邪魔したときも、故意ではなくても妨害となります。
守備妨害を審判員が認めたときは、ボールデッドとなり、バッターはアウトとなります。ただし、次の場合は処置が変わります。
○守備妨害はあったがキャッチャーが送球して盗塁をアウトにした→盗塁のアウトが優先で、守備妨害は取り消し。アウトにできなかった場合は、バッターがアウトとなる。
○バッターが空振りをした勢いで、故意ではなく、キャッチャーの守備をバットで妨害した→守備妨害とはならない。ボールデッドでランナーは進塁できない。カウントはストライクになる。
○打者走者として1塁へ走るとき、打球を処理しようとしていたキャッチャーと接触した→双方とも妨害とはならず、プレーはそのまま続行。原則は守備優先だが、本塁付近の打者走者とキャッチャーについては例外となる。
四球と死球の違い
【四球はボールインプレー 死球はボールデッド】
▼四球の場合はひとつ以上の塁を進んでもOK
四球(フォアボール)または死球(デッドボール)になると、バッターはアウトになることなく安全に1塁へ進むことができます。
ただし、四球はボールインプレーなのに対し、死球はボールデッドという違いがあるので注意しましょう。
▼四球
ボールが4つになって審判が「四球」を宣告すると、バッターは安全に1塁に進み、打者走者に押し出されたランナーもそれぞれ安全に進塁できます。
ただし、これはボールインプレーの状態で行われます。すなわち、第4ボールがワイルドピッチやパスボールのときは、ひとつ以上の塁を進んでもかまいません。その代わり、1塁へ進んだ打者走者や次の塁へ進んだランナーがそれ以上先に進もうとした場合、ベースを離れているとタッチプレーでアウトとなる可能性があります。
▼死球
バッターが打とうとしなかった投球に触れると死球となります。ただし次のケースは死球とはなりません。
@ノーバウンドの投球がストライクゾーンでバッターに触れたとき(判定はストライク)
Aバッターが投球を避けずに触れたとき(投球がストライクゾーンを通っていなければ判定はボール)
死球があった時点でボールデッドとなりますから、そのボールが逸れたとしても、打者走者およびランナーはひとつの
塁しか進めません。それぞれ進塁した後、球審の宣告によってプレーが再開されます。
ボールデット時の安全進塁権
【フライが野手のグラブにあたってスタンドを越えればホームラン】
▼フェンスのトップ以外に当たったスタンド越えは2塁打
打球がボールデッドになった場合、打者走者やランナーがアウトにならずに進塁できる権利が発生します。
ホームランと2塁打がこれにあたります。 ホームランは、打球がフェンスなどをインフライトで越えた場合です。
打者走者およびすべてのランナーは、本塁まで進むことができ、得点となります。
地面やフェンスなどに当たってインフライトでなくなった打球がフェンスを越えると2塁打(いわゆるエンタイトル・ツーベース)となります。打者走者、ランナーはそれぞれ二つの進塁を与えられます。
ホームランと2塁打の判定基準は、次のとおりです。
○フェアのフライが野手のグラブや体に当たってフェンスを越えた場合→フェア地域のスタンドを越えればホームラン、ファウル地域のスタンドなら2塁打
○フェンスに当たった打球がフェンスを越えた場合→2塁打。ただしフェンスのトップの部分に当たって越えた場合はホームラン
○地面やフェンスに当たった打球が野手に触れてフェンスを越えた場合→2塁打
打撃妨害による進塁
【打撃妨害の後にプレーが続いたら監督は有利なプレーを選べる】
▼攻撃側が有利と判断したら打撃妨害を取り消してもよい
バッターがキャッチャー(または野手)に打撃を妨害されると、インターフェアとなってバッターは1塁へ進めます。
バッターが投球を打とうとしたとき、キャッチャーがミットをバットに当ててしまったケースなどです。
打撃妨害があってもプレーが続いた場合は、そのまま流されます。たとえば、キャッチャーのミットにバットが当たったものの、投球を打ち返したケースなどです。そして、プレーが止まった時点で、攻撃側チームの監督にはプレーを選択する権利が生まれます。
たとえば、ノーアウト2塁でバッターが妨害を受けながらも送りバントを成功させた場合(バッターは1塁でアウト)。監督はプレーが終わった直後、
@打撃妨害を優先してノーアウト1・2塁
A打撃妨害を選ばずにワンアウト3塁、のどちらかを選択できます
妨害を受けたバッターが1塁に達し、他のすべてのランナーもひとつ以上の塁を進んでいれば、妨害とは関係なくプレーはそのまま続けられます。
ハーフスイングの規定
【ハーフスイングの判定は審判員に一任されている】
▼球審がスイングをとればストライクが確定する バッターが投球を打ちにいって途中で止める「ハーフスイング」については、ルールブックに明確な定義はありません
よく「どこまでがハーフスイングか」が問題となりますが、判断は審判員に委ねられています。よって審判員には、一定の基準で判定することが求められます。
球審がハーフスイングと判断すれば、スイング(空振り)が確定してストライクとなります。ただし、球審がボールと判定した場合、守備側のキャッチャーおよび監督(他のプレーヤーは権利がない)は、球審(塁審ではない)に対して、ハーフスイングかどうかの判定を塁審に一任することを要請できます。
ストライクの判定に対してバッターが確認を要求することはできません。要請を受けた球審は、必ず塁審に判定を委ねなければなりません。右バッターなら1塁、左バッターなら3塁と見やすい位置にいる塁審に確認するのが普通です。
塁審がスイングを認めなければ、球審の判定どおりボール、スイングをとればストライクとなります。
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