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◆クロスプレーの規定トップページ > クロスプレーの規定クロスプレーとは、走者と野手が接近して行われるプレイをいう。アウト / セーフなどの判定の難しい・きわどいプレイ一般に用いられるが、日本ではとりわけ選手同士の接触(要は体当たりなどのぶつかり合い)を伴うような激しいプレイを指してこう呼ばれることが多い。しばしばクロスプレーを "cross play"(交錯するプレイ)としている用例があるが、これは誤りである。
ボールを持った野手がフォースの状態でない走者をアウトにするためには、走者の身体へ触球を行うことが求められる。一方、走者はアウトにされることなく、かつ得点する目的のため1つでも先の塁へ進もうとするために進塁を試みる。この両者のプレーが塁の付近で行われると、両者はその目的のため、激しく接近してプレイを行う。このようなプレイをクロスプレーと呼ぶ。 クロスプレーは激しいプレイであり、アウトかセーフかがギリギリのタイミングであることが多く、プレーヤーはもちろん、観衆にとってもエキサイティングなプレイである。しかし、プレーヤー同士の激しい接触のため怪我につながる可能性もある。体当たりや転倒による怪我が起こったり、ヘッドスライディングの場合は野手の足や塁に衝突したりする恐れもある。また、プレーヤーはスパイクを履いているため、足からのスライディングは相手プレーヤーの身体に当たって出血させる恐れもある。まれに骨折などの重傷や、意識不明の重体、時として死亡事故につながることもある。また、クロスプレーから乱闘が発生することがある。 クロスプレーの判定 クロスプレーはどの塁でも起こりうるプレイであり、野手が走者に触球しようとするときには、走者もアウトを免れようと、激しく触塁する場合が多くなる。野手と走者が衝突した結果、野手がボールを落としたり、たとえボールを落とさなくても、手の上でジャッグルしたりした場合には、触球後にボールを確実に保持していないことになるから、走者はアウトにはならない。なお、野手が触球した後、どのくらい保持すればよいかは、審判員の判断による。 クロスプレーはアウトかセーフかがギリギリのタイミングで行われる。しばしばエキサイティングになることも多く、そのため、走塁妨害や守備妨害といった反則が起こることもある。塁上でのクロスプレーにおいては審判員に高度な判定技術が要求される。特に本塁では、得点をしようとする走者と得点を防ごうとする捕手が激しく接触するプレイがしばしば見られる。捕手が走者へ触球するまでの行為が、正当な守備行為か走塁妨害に該当するかを見極める判定技術は極めて高度である。 野手は、まさに打球や送球を受けようとしている時やボールを保持したあとならば、触球を果たすために走路に位置しても構わないが、それ以外のときは走者の進路をふさぐことは許されない。例えば、まだボールを持っていない捕手が三塁―本塁間の塁線上や本塁の前に位置して送球を待ったり、まだ送球を受ける前から足を出したりして、得点しようとしている走者の走塁をブロックする行為は走塁妨害である。 一方、走者も送球を故意に妨げてはならない。得点しようとしている走者が送球を受けようとしている捕手のミットにめがけて体当たりやタックルを行なったり、ミットを蹴り上げるようなスライディングを行なったりする行為は、守備妨害である。クロスプレー等の結果アウトになった、あるいは得点した直後の走者が野手の次のプレイを妨害した場合は、プレイの対象となっていた走者(プレイの対象の走者が判定しにくいときは、最も本塁に近い走者)がアウトになる。また、特に悪質な場合として、併殺が行われる状況で、先にアウトになった(なりそうな)走者が明らかに併殺を行うための守備を妨害した場合は、妨害を行った走者がアウトになるのはもちろん、打者走者(打者走者がこのような行為を行った場合は、どこで併殺が行われようとしていたかに関わらず、最も本塁に近い走者)もアウトになる。 日本のアマチュア野球ではアマチュア野球内規を設けており、2008年、「オブストラクションの厳格適用」という項目を定めた。この中では、捕手または野手が、あらかじめ塁線上およびその延長線上の塁上に位置して(足または脚を置いて)送球を待つことを禁止し、違反した場合は厳格に走塁妨害を適用することとしている。さらに日本高等学校野球連盟では高校野球特別規則を定め、その中で走塁妨害に独自の解釈を採用して球の不保持時の捕手の立ち位置を規定している。これらは、厳格に適用することで主として選手の怪我の防止を図っている。 土井の左足 1969年10月30日に後楽園球場で行われた日本シリーズ、読売ジャイアンツ対阪急ブレーブスの第4戦で、4回表、無死一・三塁の場面。巨人はディレードダブルスチールを仕掛け、一塁走者王貞治が二塁へ、次いで三塁走者土井正三が本塁へスタートした。阪急の捕手岡村浩二は、投球を捕ると一度二塁へ送球した。二塁手山口富士雄がこれを受けて再び岡村へ転送、本塁で土井と岡村のクロスプレイとなった。 岡村は送球を捕って本塁に突入してきた土井を跳ね飛ばしたので、このプレイはアウトと思われた。しかし、球審岡田功はこれをセーフと判定した。この判定に、完璧に土井の走塁を防いだと確信していた岡村は激高し、岡田を殴打した。岡田は岡村に退場を宣告。これは日本シリーズの歴史の中で唯一の退場処分である。 試合後に記者に「アウトだったのではないか?」と詰め寄られた岡田は、帰宅後「ミスジャッジをしてしまったかもしれない」と悩み、辞表を提出しようと考えていた。しかし翌朝、新聞に問題となった本塁でのクロスプレーの写真が大きく掲載された。そこには、跳ね飛ばされる直前に土井の左足が岡村の両足の間をかいくぐり、本塁を踏んでいる瞬間が見事に写し出されていた。これにより、岡田の的確な判定と土井の走塁技術の高さが賞賛された。
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